その瞳の夢はなんですか

彼等の望む先のステージを共に見たい

重岡大毅という奇才

一年以上ぶりのブログだってばよ。

一年以上ぶりのブログの癖に、自担のことじゃなくて重岡大毅のことだってよ。

 

私の中で、なんで私はお前のヲタクじゃないんだ選手権というものがある。もう字面からしてよくわからないのは百も承知だが、たまにいるのだ。なんで私は、お前のヲタクじゃないんだろうと考えてしまうことが。

 

栄えある堂々の第1位はKAT-TUNの中丸雄一さん。「なんで中丸雄一さんのヲタクしてないんだろう…」というセリフ、多分人生で43587回くらい言った。中丸雄一さん、個人的に顔も性格も冷たい視線もドストライクなんだけどなぁ。なんでだろうなぁ。

 

そして第2位に見事ランクインしたのが、今回の本題、重岡大毅である。まあ第1位を獲得していない時点で重岡大毅のヲタクをすることは無いだろうが、それでも如何せん疑問である。なぜ私は重岡大毅という人間のヲタクをしていないのだろうか。まあ答えは単純で、それ以上に自担のヲタクをしているのが楽しいからなんだけど。

 

そもそも重岡大毅属するジャニーズWESTは、各自の個性が尖りすぎたスキルメンパリピ集団だ。

 

語弊があるかもしれないので訂正する。

 

ジャニーズWESTは、各自の個性が異様に突出しすぎているハイスペックスキルの持ち主7人によって構成されたパリピ集団だ。

 

ギター・トランペット・パーカッションを操り自ら作曲を行い、圧倒的歌唱力を備えパワフルなダンスとアクロバットを繰り出すにも関わらず、家事とモノマネが大得意な神山智洋

 

……ん?まだ1人しか言ってないのに設定盛りすぎじゃない?

 

力強い歌声とJr.時代から培ってきた誰にも負けない演技力、お茶の間の認知を獲得しバラエティでも愛されキャラクターを確立した桐山照史

 

大学を卒業し日本語・英語・中国語を流暢に話すトリリンガルの帰国子女、ひとたび情報番組に出れば持ち前の頭脳で視聴者を頷かせてしまう中間淳太

 

群を抜いた身体能力でアクロバットをこなし、群を抜いて安定した歌唱力を発揮、そこに居るだけで安心感とオチをもたらす濵田崇裕。

 

ひと目見るだけで誰もが黙る圧倒的ビジュアルと魅力的なハスキーボイスを備えつつ、ちょっとどころじゃないくらい抜けたド天然のギャップが愛おしい藤井流星

 

ジャニーズ内でも上位を争う高身長を武器に、モデルに俳優と活躍の場を広げる窓口担当、でもどこか甘えたがりな末っ子気質の小瀧望

 

……少女漫画並みに設定が盛れに盛れてる。どういうこと。あまりに個が強すぎる上にひとりひとりがハイスペックすぎるわ。

 

この6人のセンターに立つ人間こそ、重岡大毅である。でもまあ、この重岡大毅がとにかくヤバい。最初に目に飛び込んでくる情報が、上記6人に比べてあまりにもトンチキなのだ。以下、その実例である。

  • Jr.時代はキラキラアイドルを演じていたが、デビュー以降被っていた猫を全力で脱ぎ捨てる
  • あまりに構ってちゃんすぎてメンバーからウザがられる
  • Jr.時代に出身地の「兵庫」が書けず、ずっと大阪生まれになっていた
  • 私服がダサい。ヲタクに特定されないために服のロゴにガムテープを貼ったり、逆にメンバーの顔写真がデカデカと入ったツアーTシャツで街を闊歩する
  • 誕生日プレゼントとして「淳太のまっく」と油性ペンで落書きしたMac中間淳太に渡す
  • 歯が多く何かにつけて「歯磨き」「歯医者」といった要素が付きまとう*1
  • それでいて自称「すっげぇジャニーズ」「ニコニコ天使ちゃん」

いいのか……いいのか重岡大毅、君はこれで……。歌が上手いとか演技の才能が頭角を現しているとか愛嬌があるとか、WESTのセンターは彼しか考えられないとか、いくらでもいいエピソードはあるのにアホのパンチが強すぎる。各エピソードを見てみると、アホだらけのジャニーズWESTにおいても群を抜いてアホ。大丈夫か、このセンター。ちなみにバンギャだった友達はこのアホきっかけで重岡大毅堕ちした。嘘でしょ…。

 

それでも私は、重岡大毅に対して「どうしてこの人のヲタクじゃないんだろう」と度々思う。自担なんて、彼とは正反対だ。というか、彼の1番の被害者だ。それでも私は1度でいいから、重岡大毅のヲタクをしてみたいと考えてしまう。

 

そう強く思うようになったのは、2019年にアルバム「WESTV!」を手に取って以降だ。これに収録されている重岡大毅神山智洋・濵田崇裕のユニット曲「間違っちゃいない」。作詞作曲は、重岡大毅

 

涙 一粒 星降る夜に

光れない 馴染めない

なぜ同じ様に生きれないの

 

この歌い出しは、私の胸をぎゅっと強く締め付けた。

 

Jr.時代にキラキラの王道アイドルをしていた重岡大毅。それを脱ぎ捨てて、グループ内でアホ街道を突き進む重岡大毅。黒髪ピアス無しを貫き、プライベートは一切見せず「偶像」を守り抜く重岡大毅

 

アイドルのど真ん中と、普通の男の子の狭間で生きている彼の、

「光れない」

「馴染めない」

「同じ様に生きれない」。

 

どうしても、彼の人間臭さというものを感じてしまった。

 

グループのセンターを張って、真ん中で笑顔を携えている彼が言う「光れない」。あんなにもステージでキラキラと光り輝いているはずなのに、「光れない」。居場所に「馴染めな」くて、誰かとは「同じ様に生きれない」。

 

数多の歌詞を書いてきた他のジャニーズメンバーにも、きっとこの歌詞は書けないだろう。

 

ジャニーズの作詞といえば、私は嵐の櫻井くんのラップが大好きだ。圧倒的ボキャブラリーの前に全面降伏せざるを得ない、畳み掛けるような挑戦的なラップ。広辞苑でも頭の中に入っているのかと思わせるようで、とても好きだ。

 

でも重岡大毅は違う。誰もが知っている、普通の20代男子の言葉たちを詞に乗せる。それが何処か人間臭くて、気恥しいような、でも誰もが感じてしまうような。

 

これはプライベートを隠してアイドルを貫き、メンバーの前ではおちゃらけてアホを演じる重岡大毅の、心の内なのではないか。次第に、そう思うようになっていった。彼もアイドルである前に一人の人間で、多くの葛藤を抱えて生きているのかもしれない。「ジャニーズWEST重岡大毅」として出した楽曲だからこそ、彼は自分の中でひとつの軌跡にしているのではないだろうか……。

 

残念ながら中止となってしまった2020年「W trouble」ツアー。重岡大毅は、このツアーに引っ提げたアルバムにも1曲「to you」を書き下ろしている。この曲のサビの終わりには全て

一人帰り道 口ずさむ

新しいメロディー ふっと笑った

一人帰り道 この胸に

止まらないリズム ふっと感じた

一人帰り道 立ちどまる

懐かしい声に

思い出し笑いできるんだ

この日いつか足元を照らすんだ

と、「ひとりで歩く帰り道」のことが示唆される。1番は「新しい」と未来の暗示、2番は「止まらない」と進行形である現在の暗示、ラスサビは「懐かしい」と過去の暗示。現在から過去を振り返り未来へ、過去から今そして未来へという時系列はよく存在する。しかし、未来から過去への流れはそう類を見ない。ストーリーとして暗くなりやすいため、全体的に後ろめたくなってしまうからだ。

 

この曲について、「大切な人との別れの歌」と彼は言う。明るいメロディに、どこか背中を押してくれそうな、別れだけど旅立ちの歌。未来から過去へ進むにも関わらず、笑って歌いたいこの曲の秘密は、「思い出し笑いできるんだ この日いつか足元を照らすんだ」の一節にあると思う。一番最後に現れるこの歌詞が、冒頭の同じ詞へ繋がるように聴こえるのだ。

 

過去だけれどもそれは「思い出し笑いできる」美しいもので、「足元を照らす」導いてくれるもの。初めて聴いたときは呼吸を忘れるかと思った。まじで。

 

もちろん「to you」にも特別な、難しい言葉が出てくるわけではない。でも詞に含まれた痛み、叫び、悲しみといった、泥臭い人間の奥底にある気持ちが溢れ出ている。

 

ジャニーズWESTのセンターである前に、アイドルである前に、彼はひとりの人間である。そして同時に、等身大の言葉を描くクリエイターでもある。クリエイターとしての重岡大毅は、紛れもなく奇才だ*2

 

ちなみにユニット曲だった「間違っちゃいない」は、「間違っちゃいない。」として7人で新たにレコーディングされる運びになった。2020年6月24日発売14枚目のシングル「証拠」初回限定盤Bに収録されているというのだから驚きである。なんと特典のDVDにはSpecial Studio Recordingまで入っているので実質タダ。

表題曲は藤井流星神山智洋主演のシンドラ「正しいロックバンドの作り方」主題歌であり、ジャニーズWEST待望のめちゃくちゃカッコイイロックナンバー。これだけでキャッシュバック感満載にも関わらず、藤井・神山がドラマにインスパイアされて制作した「ANS」も収録。えっ……これが初回限定盤Bの1枚で楽しめちゃうんですか……。

 

初回限定盤Aには「証拠」MVが付属しており、パリピ集団WESTのとにかくカッコイイところとアホ丸出しのヤンチャな7人組が見れる。通常版にはストリーミング配信ID封入されていて、「ほんとに好きな証拠写真の証拠」が期間限定で視聴可能。メンバーが「ほんとに好きな物」を語る姿、必見。重岡大毅は歯ブラシ。嘘だろと思うけど、歯ブラシ。歯ブラシについて30秒語ってる。本当に君が「間違っちゃいない。」を書いた重岡大毅くん本人?

 

というわけで、6月24日発売ジャニーズWEST14thシングル「証拠」、どうぞよろしくお願いします!!!

 

 

……あっ。重岡大毅のヲタクをしてみたいと思ったことはあるけど、中間淳太の担当のまま彼を全力で引きずり回す重岡大毅を見るのが1番楽しい。結果的に現状維持なんだなぁ。

 

 

 

 

*1:2018年ライブツアー WESTivalでの歯磨きシーン、2019ライブツアー WESTV!のコントで「歯が多い方」と呼ばれる、ザ少年倶楽部欠席時にメンバーから「シゲはあいつ歯医者か」と言われる、14thシングル 証拠の本当に好きなもので歯ブラシを持ってくる、など

*2:そもそも初の自作曲「乗り越しラブストーリー」において「アダムとイブも二度見」という歌詞を書く時点で、恐ろしい感性の持ち主であることは伺えていた